島の時間 bｅ

浜に置かれたテーブルの上に、ドリはちょこんとすわっていました。
まだ手のひらに乗りそうなほどちいさくて、借りてきた猫みたいな印象でした。
ドリにしてみれば初めての外出、いささか戸惑っていたのかもしれません。
「名前はドリ、あんたのお友達よ」
そう言われても・・・僕は子供の頃から犬が大の苦手。
「ほら、ドリがよろしくってよ」
清水の舞台から飛び降りるつもりで差し出した僕の手を、
やつはガブリとかみやがったのでありました。

キャンプは、盛大でたのしいものでした。
僕は、ドリどころか、みんな初対面。
顔見知りもいるにはいましたが、本当の意味では初めてでした。
星屑ほどの幸運で再会したレイですら、まだ僕を呼び捨てにしていません。
そういう、ありがたい日だったのだと思います。













ドリはどうしても眠りにつくことができなかったらしく、
夜明け前、ひとあし早くお家に帰ったようです。
浜では、えっちゃんが起きてしまったミーツを抱いて、歌を歌っていました。
空には満天の星。今にも落っこちてきそうなほどです。
オリオンという星座を教えてもらいました。
あの三ツ星、真ん中がミーツで、右と左にパパやママがいる。
そんなふうに誰もが、誰かに守られているのだと。















ドリは今日、満一歳になりました。
昨夜12時になるのを待って、ささやかな乾杯をしました。
ドリは相変わらずです。
依然としてお手はやらないし、今でもかみやがりますが、
いいところを見たらきりがない、大切な存在。
僕は今でも犬が大の苦手で、
こいつは犬じゃないと自分に言いきかせてきたけれど、
犬としての喜びや苦悩や男気も、ちょっとわかてきた気がします。

ドリ、いつかまた地球の上でキャンプをしよう。
ひとまず、おまえにとって明日がいい日でありますように！