2006年03月26日

真っ赤なデイゴの咲く小径 ふるさとの島で

真っ赤なデイゴの咲く小径 ふるさとの島で

島から甲子園入りした応援団が盛り上っている頃、
彼は空港におりたちました。
那覇に住む彼は、待ち望んだこの試合にあたって、
現地・甲子園ではなく、石垣島に入りました。
たまたま仕事で・・・と笑っていましたが、
わざわざ用事をつくったのかもしれません。
おそらくはこの島で、みんなで試合を観たかったのでしょう。

真っ赤なデイゴの咲く小径 ふるさとの島で

初めて彼に会ったのは石垣空港でした。
ものすごい雨の中むかえにきてくれた彼は、
独特のおだやかな笑顔で「テレビ観ましょう」と言いました。
夏の甲子園をかけた沖縄県大会決勝、
好投手・友利を擁する沖縄水産を個性派集団・那覇がひっくり返した試合です。
僕らは空港のフロアにあぐらをかいて、試合終了までテレビを観ました。
たったそれだけで、人柄がわかりました。
実は沖縄の野球界では知られた人ですが、今はその話はしません。
今回は、野球人としての甲子園ではないからです。

彼はもともと宮古の人ですが、警察官だったお父様の仕事の関係で、
多感な少年時代を八重山で過ごしました。
いったんは島をはなれ、沖縄本島、東京と各地を転々としますが、
縁あって一時は石垣に単身赴任。
それがきっかけで、僕は再び島を訪れるようになりました。
いま思えば、どれもこれもが不思議でなりません。

「ここは、私のふるさとですよ」
と笑って話す瞳に、深い海がのぞきます。
でこぼこ道の人生に、ふと気づくと、自分を励ましつづける島。
そういう場所にかえって、
仲間とあの試合を観た命がありました。

真っ赤なデイゴの咲く小径 ふるさとの島で

彼が那覇に帰るとき、空港に新たな垂れ幕が加わっていました。
「やったぜ!初戦突破」
歴史的な勝利に、島はおおいにわいたそうです。
ひとりの人として、その場にいられたことが、
何よりの宝だったに違いありません。

試合中、電話口で何度もきいた、涙まじりの声。
「甲子園と島がひとつになっています!」
その前にあったであろう長い長い時間が、
あの日の真っ赤なデイゴです。

たかが野球に、人は人生をふるいたたせます。
がんばれ!八重山商工!


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ぜひ、あなたも聴いてみてください。
https://www.mf247.jp/


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Posted by sumao at 23:51│Comments(0)八商工
 
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