2006年03月31日

真っ赤なデイゴの咲く小径 明日へ

本日、大阪は見事に晴れ、横浜が準決勝進出を決めました。
うれしくてかっちゃんに電話したら、乾杯の音頭のまっただなか。
どうやら、選手と一緒に島に帰ったようです。
僕はといえば、いつものようにあくせく仕事してました。
あの瞬間が、遠い日のようにも、昨日のようにも思えます。

真っ赤なデイゴの咲く小径 明日へ

気合を込めてのぞんだ横浜戦。
実を言うと、本当に勝つ気でいました。
これまでの道のりの中で、負けて笑う覚悟はとっくにできています。
あとは、打ち勝って泣くだけ。
そんな僕達にとって、長い試合となりました。

真っ赤なデイゴの咲く小径 明日へ

終盤、野球部OBの連中が立ち上がり、空に叫びはじめました。
あきらめない、というより、ただ信じていたのでしょう。
「やれる、きっと、やれる・・・」
今まで見たことがないほどの大声援を受け、
選手達は早いカウントから打っていき、すばらしい反撃を開始。
初戦では怪我人の対処で不在だったセンセイまでが大絶叫。
指笛高らかに、叫びをハイヤイヤサッサが盛り上げ、
アルプスは島になりました。

監督はいつも「鍛えた技術をつかう心が大事だ」と言っています。
それがひとりひとりに宿っていることが、
アルプスには何よりうれしかったのではないかと思います。
監督が繰るゴミ収集車について毎日黙々と走っていたあれの姿や、
怪我で九州大会に出れず島に残ったあれの胸のうちや、
出場決定の瞬間に部員二人時代を耐えた元主将を胴上げしたあれの笑顔や・・・
あれなんかに野球をさせてやりたい!
そんな思いが力になった瞬間でした。

けれど、押せ押せで逆転のランナーまで出したあの回、
一歩間違えれば万事休すとなる場面で、横浜の守備陣は、
己の力を信じて高度なダブルプレーに打って出ます。
結果、その「技術をつかう心」の前に、我らが商工は敗れたのです。

真っ赤なデイゴの咲く小径 明日へ

横浜の校歌をきくアルプスに、涙はありませんでした。
ただ、一緒に歌えないのがもどかしく、みんなマグホンをたたきました。
きっと誰だって、あの場にいたらそうしていたはずです。
商工のアルプスは、そういう場所でした。

試合後、真っ赤な大応援団は、「また夏に!」の言葉とともに、
ひとりまたひとりと、甲子園を後にしました。
たった8人の応援団に戻った僕たちは、
桜咲く甲子園のおでん屋で「祝杯」をあげ、これからを話しました。
そして、最後に歌ったのは、校歌でも、島人の宝でもなく、

真っ赤なデイゴの咲く小径

ともに応援しようと決めた日から、僕の中でずっと流れている歌です。
まだCDにもなっていないこの歌は、僕たちの春を知ってか知らずか、
mF247のランクイン記録をぬりかえ、再び2位まで浮上したそうです。
ふだん喉とそれをつかう心を鍛えていない僕は、すっかり枯れきった声で、
ありがとう、ありがとうと歌いました。
手拍子をくれた横浜高校応援団のみなさんにも、ありがとう。
ええ大人がこんなんでええんかいなという問題はさておき、
僕はこれからも、ちいさな応援者でいるような気がします。

敗退の夜、伊志嶺監督は宿舎で選手達を集め、
その日のビデオを観ながら早くも次のミーティングを行ったそうです。
みんなでひらいてきた真っ赤なデイゴの咲く小径は、
まぶしい夏へとつづいています。
これからも、あなたの場所から、応援よろしく!

真っ赤なデイゴの咲く小径 明日へ

全国の街にすばらしいチームがあるのと同じように、
南の島に、ちいさな野球部があります。
少々やんちゃで、やさしくて、のんびり屋さんなところもあるけれど、
野球をやれるよろこびを力にすすむ、
僕の大好きなチームです。


がんばれ!八重山商工! 真っ赤なデイゴの咲く小径

by 応援団パーランクー neogaia, soulbose, スマオ

Special Tnanks!(敬称略)
チバリヨ沖縄球児!/夢実現甲子園の会/沖縄県立八重山商工高等学校野球部を甲子園へ送る会/八重山から甲子園に行かす会/八重山商工球児を迎える会/沖縄県立八重山商工高等学校PTA/株式会社中央ツーリスト/Hub Create/ごーやーどっとネット/背番号8長坂キャプテンとその彼女/島娘ナツコとお腹の中の赤ちゃん/センセイ/マツノさん/Hideoman/隊長/おっちゃん/イズミー/きよさん/石垣さん/おっき~/ゆーこりん/もんち/井上さん/ナガヤスのかーちゃん/ハイヤイヤサッサ隊のみなさん/沖縄県立八重山商工高等学校野球部OBのみなさん/津梁会/真っ赤なデイゴ会/水上綾子/比嘉功/宮良久志/高木健/仲栄真克美/そして、応援してくださったすべてのみなさん!


 あたたかい声援、ありがとうございました。
 この春の「真っ赤なデイゴの咲く小径」はこれにておひらきです。
 拙「島の時間 b」は、またいつものぼちぼち更新なブログにもどります。
 島の風にふれたくなったら、いつでもお越しください。

 それでは、また夏にお会いしましょう!


追伸:
成底ゆう子「真っ赤なデイゴの咲く小径」は、
mF247にて無料でダウンロードできます。
ぜひ、あなたも聴いてみてください。
https://www.mf247.jp/


同じカテゴリー(八商工)の記事
今夏
今夏(2007-07-02 15:58)

スターティングデイ
スターティングデイ(2007-03-02 14:44)


Posted by sumao at 23:46│Comments(10)八商工
この記事へのコメント
スマオさん♪ ホントに お疲れさまでした! ヾ(=^▽^=)ノ
Posted by えみんちゅ at 2006年04月01日 00:28
地元でもなく、父や母の出身地というわけでもなく、
友達が転校していった場所というわけでもなく、
本当に何の縁もゆかりもないところの代表校なのに、
思わず「頑張れ〜!」と応援してしまった八重山商工。
そんな方々がたくさんいたのではないでしょうか。
日本全域にファンを持つ出場校。夏にはまた会えますね(^^)
Posted by 菜 at 2006年04月01日 00:45
スマオさん、本当にお疲れ様でした。

>あの瞬間が、遠い日のようにも、昨日のようにも思えます。

同感です。今ではすっかり現実に戻ってしまいましたが、遠い日に見た夢のようであり、昨夜の夢のような気もします。

監督ではないのですが、私も当日の夜に商工の試合を再観戦しました。昼間と違って極めて冷静に。
感動を呼んだ試合でしたが、やはり商工は負けるべくして負けたと思います。
スマオさんの仰るように、横浜の「技術をつかう心」、その高みは商工の及ぶところではありませんでした。
まさしく全国一鍛え抜かれた王者横浜のプレーでした。
今回彼らは得難いほど多くの事を学んだと思います。「甲子園」でなければ、「対横浜」でなければ学べない最高の野球を。

ただ、「投げる」「打つ」といった事の「力」においては自分達が上だった事をナイン達も自覚したのではないでしょうか?
その自信は大きな財産です。力を自覚した事で、商工ナインはようやく全国レベルのスタートラインに立ったと言えるでしょう。

自己の能力の高さを自覚し、まだまだ足りない野球道の奥深さを知った彼らは、間違いなく大きく伸びます。
監督と共に小学生の頃から長年磨いてきた八重山野球の集大成が夏の甲子園です。
今回のセンバツは、その前哨戦ともいえるステップです。だが、とてつもなく大きな大ジャンプを予感させる力強いステップでした。

今沖縄では春の県大会が行われています。商工ナインに影響されてか、甲子園に負けないほど近年まれに見るハイレベルの熱戦が展開されています。
今度の日曜日はセンバツと同じく準決勝。強力なライバル達の試合を見に行こうと思います。
大嶺君より速い球を投げる興南の投手や、長靖君らの強力打線より破壊力のある中部商打線、横浜並みの試合巧者・沖縄尚学など。

そして商工ナインはこれらライバルも確実に制し、きっと8月に、あの甲子園のグラウンドに戻ってくると信じています。
伊志嶺監督と悪ガキたちの、本当に最後の晴れ舞台は、選手権最終日に深紅の大旗を手に取る事だと信じています。

なにはともあれスマオさん、今回は本当にありがとうございました。
「真っ赤なデイゴの咲く小径」でアルプスの熱気が強く伝わり、ここ数日間、とても楽しかったです。
また現地で声援を送れる仲間たちを、羨ましくも思いました。
ドリームチーム・八重山商工の集大成の舞台、まさに南国球児が暴れるに相応しい夏の甲子園では、私も皆とアルプス石垣島に参戦したいです。
そうなれるようにスマオさんも祈って下さいネ(笑)。

最後に、サイトの趣旨と異なるスタイルで、熱い応援の場を与えてくれたスマオさんの情熱!
それがこの春の、私にとっての真っ赤なデイゴです!!

改めまして、この春熱い声援を送った皆様、ナインを一生懸命支え続けてくれてきた皆様、お疲れ様でした。
Posted by neogaia at 2006年04月01日 02:00
> えみんちゅさん
ヾ(=^▽^=)ノ

> 菜さん
ありがとうございました。
思わず、というのがうれしかったです。
たぶん、全国各地に同じようなチームがあると思います。
そのひとたちにもがんばってほしいですね!

> neogaiaさん
おそらくneogaiaさんなら、そうおっしゃると思いました。
あの日の夜、桜咲く境内を見下ろすちいさな居酒屋で、
みんなで噂して笑ってた通りでした。
大阪はまたすこしつめたい雨ですが、
感謝で迎える春はいいものですね。
意味のある一敗・・・にしていきたいです!
あらためて、ありがとうございました。
夏、ぜひお待ちしています。

追伸: チバリヨ!横浜高校!

これからもどうぞよろしくお願いします。
Posted by スマオ at 2006年04月02日 01:14
ご存知かと思いますが、春季九州高校野球大会で八重山商工が見事初優勝を果たしました!!

準決勝では、昨秋の九州決勝で苦杯を舐めたセンバツ準優勝校・清峰にコールド勝ちでリベンジ。
決勝戦では、古豪・熊本工に17-2で圧勝!!
大嶺14奪三振完投、金城長・羽地・大嶺のクリーンナップがホームランで揃い踏み、というこれ以上にない完勝でした。

友人から聞いた話ですが、センバツから帰ってからのチームは、センバツ前と比較にならないほどの猛烈な練習をこなし、選手達は極限まで疲れきっていたそうでした。そこまで自身を追い込む姿に、明らかに彼らの確固とした意思が見えます。確かにはっきりとした目標を見据えています。

多分センバツ前と後とでは、間違いなく別のチームになっていると言えるでしょう。それだけセンバツでの経験は彼らに凄まじい影響を与えたのです。
少年は、一つのきっかけで信じられないような成長を遂げます。
その様をまざまざと見せ付けられたような、この春の九州大会でした。

あとは来るべき夏に備えて、じっくりとあせらずに力を蓄えるだけです。決して現状に慢心しないように(それだけが心配なのですが・・・)。

スマオさん、夢はまだまだ確実に続いています!
少年たちの夢の集大成を、来る熱い夏にぜひ見せて欲しいですネ!!!
Posted by neogaia at 2006年04月29日 01:44
> neogaiaさん
ききました!
意識を持って取り組んだことが成果をあげたという意味で、
本当にうれしい一勝です。
あの春から、ずっとつづいているという島での応援も、
夏に向けてさまざまな準備をはじまっています。
自分もがんばらねばと思いますね!

がんばれ!八重山商工!
Posted by スマオ at 2006年04月29日 03:06
スマオさん、ご無沙汰してます。neogaiaです。
実は週末、石垣へ行ってました。
目的はもちろん仕事の出張ですが、土・日に高校野球商業大会(沖縄県内の商業高校6チームだけの大会)が石垣で行われました。
(別にそれを狙って出張を組んだ訳ではありません。(・・・という事にして下さい!?)

大会の結果は、八重山商工が決勝で具志川商を4対3で破り優勝しました。
でも今週末の主役は商工ではなく、現3年生が1年生の頃から切磋琢磨してきた「浦添商」でした。残念ながら浦添商は具志川商に破れ、大会で商工と対戦出来ませんでしたが・・・。

大会前日の金曜日の夜に浦商のK監督に懇親会に呼ばれました。
soulboseさんにも声をかけ、身重の奥さん(お腹の子は凄く育ってます!)と、かっちゃんも参加しました。(かっちゃんは初対面でしたが、とても素敵な方でした!)

懇親会は、それはそれは最高の夜でした。
浦商の美人女性部長・Nさんの実家で行われ、K監督はじめ浦商・Sコーチや父兄会の面々に具志川商のI監督、そして浦商野球部の選手達、具志川商野球部の選手達や女子マネージャー達に商工の部長さんまで参加して、とても賑やかでした。
ここでは言えないのですが、サプライズな方もお見えになりました。
美人部長Nさんのお父さんのもてなしで、牛をなんと1頭丸ごと潰して真栄里青年会の方々が牛汁を作ってくれたんですヨ!
その牛汁パワーは、翌日からの試合で選手達に見事に発揮されました!

浦添商・具志川商ナインの八重山商工に対する気持ちは凄まじく、素晴らしい熱戦を観る事が出来ました。
実は大会終了後に、浦商・K監督と商工・伊志嶺監督の計らいで、「八重山商工VS浦添商」の特別試合が行われたのです!
宿命のライバルと呼ばれた両チームの意地と意地がぶつかったこの試合は、私にとっても忘れられない試合となりました。
商工・大嶺と浦商・知花の両エースがそのポテンシャルを最大限に発揮して、試合は0対0のまま延長12回までもつれました。
12回の表に犠牲フライで1点をあげた浦添商が結局は勝ったのですが、両チームの選手達のプレーは本当に素晴らしかったです。
大嶺君は甲子園以上の最高のピッチングで奪三振を連発し、浦商・知花君はあの商工打線を12回3安打完封です。
気合の掛け声をかけながら、1球ごとに魂を込めて投げる知花君の投球には胸を打たれました。

夏の県予選・沖縄大会はあと1ヶ月で開幕します。商工を中心とした沖縄球児達の甲子園にかける思いは半端じゃありません。
これまでにない夏のドラマを予感させるような、この週末の石垣島でした。
soulboseさんとバックネット裏で見続けた私は、疲労と日焼けで昨日は死にそうでした(笑。

間違いなく夏の主役になるであろう商工ナインは、身近なライバルの成長に改めて気を引き締め直した事と思います。
夢に向かって、チバリヨー沖縄球児達!!!
Posted by neogaia at 2006年05月23日 00:49
> neogaiaさん

まずは・・・ほんとサプライズな人と飲みましたね!
きっとneogaiaさんのヒキの強さですよ!

あの夜はひさしぶりに大阪にいる粟国の方々と飲んでまして、
いただいた電話に気づきませんでした。
ちょうど商業大会の話もしてたんですよ。
当日のもようとか、neigaiaさんの感動ぶり(笑)とか、
後日たのしくききました。
かっちゃんは夏のために「心を鬼にして」
今回は商工ナインを応援しなかったそうです。
おっしゃるとおり、励みというか教訓というか、
彼らが将来野球をしていく上で重要な一日になったはず!
・・・だったのですよね?

泣いても笑っても、沖縄大会はもうすぐ。
みんなでいい夏にしたいものです。
そのスタートラインにあたる開会日を島で迎えられるよう、
僕もひそかに調整中です。

がんばれ、八重山商工!
Posted by スマオ at 2006年05月23日 22:46
ご存知でしたか(笑

個人的に、ホントにサプライズでした。
あの方と着眼点が似ていたり、密かに注目している選手が同じだったりして、嬉しかったです(笑

それはさておき、今回の試合は商工ナインにとって非常に意義のある経験だったでしょうし、夏へ向けての大きな弾みにもなったと思います。
ただし、それは浦添商ナイン等他チームにも同じ事がいえます。
とにかく夏の大会が楽しみです!

スマオさん、待ってます!必ず来て下さい!!
Posted by neogaia at 2006年05月23日 23:39
島からの電話、実はそのことがメインでした(笑)
ええかんじです。
八重高の若い選手もいいとききました。
夏がとてもたのしみです。
どうか・・・ちょこっとだけでも行けますように・・・
Posted by スマオ at 2006年05月24日 21:20
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。